この記事でわかること
- サウナの消費カロリーは10分で約15〜50kcalと運動の半分以下という現実
- 入浴の活動強度は1.5メッツで座って食事をするのと同程度という科学的事実
- 体温が1℃上昇すると基礎代謝が5〜10%向上するが一時的という重要な限界
- 週2〜3回の定期的利用で痩せやすい体質づくりができる可能性
- 運動・食事管理との組み合わせが成功の鍵となる実践的アプローチ
「サウナで汗をかけば痩せる」「お風呂でもダイエットできる」という話を聞いたことはありませんか?
実際、サウナ後に体重計に乗ると1キロ近く減っていることも珍しくありません。
ですが、水を飲んだらすぐ元に戻ってしまった経験、ありますよね?
この記事では、お風呂とサウナの本当の痩せる効果について、消費カロリーや代謝への影響といった科学的データをもとに、わかりやすく解説していきます。
関連記事:自宅でサウナを楽しめる!?世界中で話題の「サウナブランケット」の魅力とは?
サウナとお風呂、どちらが痩せるのか?

健康志向の高まりとともに、サウナブームが続いています。
多くの方が「サウナに入れば痩せる」「お風呂でダイエットできる」という情報を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
個人的な経験では、サウナや入浴を始めた当初は、汗をたくさんかくことで体重が減ったように感じました。しかし、水分補給をするとすぐに体重が戻ってしまい、本当に効果があるのか疑問を持つようになりました。
実際のところ、サウナや入浴だけでは直接的な体重減少は期待できません。
体重計の数字が減るのは、主に発汗による一時的な水分喪失であり、水分補給をすれば元に戻ります。
それでも、サウナには血行促進や代謝向上、冷え性改善、ストレス解消などの効果が期待でき、これらが間接的にダイエットをサポートします。
サウナと入浴の消費カロリーの現実
項目 | サウナ | お風呂 | 参考:運動 |
---|---|---|---|
10分間の消費カロリー | 15〜50kcal | 約15kcal | 約150kcal (ランニング) |
20〜30分間の消費カロリー | 80〜120kcal (10分×2〜3セット) |
約100kcal (20〜30分浸かる) |
300〜450kcal (ランニング) |
食べ物に例えると | おにぎり半分〜1個分 (3セットで120〜180kcal) |
ご飯茶碗半分程度 (20〜30分で約100kcal) |
コンビニ弁当1個分 (30分で300〜450kcal) |
活動強度(メッツ) | データなし (高温環境負荷あり) |
1.5メッツ (座って食事と同程度) |
8.0メッツ (ランニング) |
温度 | 80〜100℃ (ドライサウナ) |
38〜41℃ (推奨温度) |
— |
推奨時間 | 5〜15分/セット (2〜3セット繰り返し) |
10〜30分 (41℃以下で) |
20分以上 (有酸素運動) |
特徴 | ✓ 短時間で高発汗 ✓ 繰り返しで効果UP ✓ 代謝向上効果 |
✓ 毎日継続しやすい ✓ 心臓への負担少 ✓ 自宅で手軽 |
✓ 消費カロリー大 ✓ 筋力向上 ✓ 持続的効果 |
- 消費カロリーだけを見ると、運動が圧倒的に効果的
- サウナは繰り返すことで消費カロリーが増加する傾向
- お風呂は活動強度が低いが、毎日続けやすいのがメリット
- どちらも「痩せやすい体質づくり」のサポート役として活用するのがおすすめ
まず、多くの方が気になるのは「実際にどれくらいのカロリーを消費できるのか」という点でしょう。
サウナでの消費カロリー
サウナ10分間での消費カロリーは、平均的な成人で約15〜50kcal程度です。
これを食べ物に例えると、おにぎり半分にも満たない量となります。
サウナを10分×3セット行った場合の総消費カロリーは約120〜180kcalになります。
これはご飯茶碗半分からおにぎり1個分のカロリーに相当します。
興味深いことに、海外における研究では、10分×4セットのサウナ入浴で、最初の10分は平均73カロリー、4セット目では134カロリー程度まで上昇しました。
繰り返し入ることで消費カロリーが増える可能性が示されています。
一方、10分間のランニングで消費されるカロリーは約150kcalであり、サウナの消費カロリーは運動の半分以下です。
入浴での消費カロリー
一般的な温度のお湯に10分間浸かった場合の消費カロリーは、約15kcal程度です。
入浴の活動強度は1.5メッツであり、座位での食事や運転と同程度の運動強度となっています。これは、料理の準備や皿洗いといった家事よりも低い強度です。
お風呂で消費されるカロリーは、38〜40度の湯船に20〜30分浸かっても約100キロカロリー程度です。
比較すると見えてくること
消費カロリーの面で見ると、サウナの方が短時間でより多くのカロリーを消費できる可能性があります。
サウナは高温のため、より多くの発汗を促し短時間でより多くの水分を失いやすいですが、水分補給するとすぐに戻ります。
代謝アップって本当?科学的に見てみると…

実は、カロリー消費の数字よりも大事なのが「代謝への影響」なんです。
体温が上がると代謝も上がる!でも…
体温は1℃上昇するごとに基礎代謝量は約5〜10%上昇するとされています。
100℃のサウナに15分〜25分ほど入ることで体温は1.5℃ほど上がるとされているので、基礎代謝量は約25%増加することになります。
「25%も上がるなら、かなり効果的じゃん!」と思いますよね。
でも、ここに大事なポイントがあります。
これはあくまでもサウナに入り体温が上がっている時だけなので、本来の基礎代謝が上がったわけではなく、一時的なものです。
実際どれくらいかというと、30〜49歳の平均的な男性の場合、サウナによって増加する基礎代謝量を計算すると10分間でわずか約2.5kcalです。正直、かなり少ないですよね…。
注目すべきはHSP(ヒートショックプロテイン)
でも、諦めるのはまだ早いです。サウナには別の面白い効果がありかす。
体温が38度以上になるとHSP(ヒートショックプロテイン)というタンパク質が増えます。
このHSPは、脂肪を燃やす褐色脂肪細胞を活発にするため、ダイエット効果が期待できます。
しかも、HSPには細胞を修復する作用、免疫強化作用、抗炎症作用などがあり、疲労回復や美容はもちろん、アレルギー改善やガン発生の抑制効果も期待できると言われています。
つまり、ダイエットだけじゃなくて、体全体の調子を整えてくれる可能性があるということです。
血液の流れが良くなると…
サウナに入ると、体が高温環境に適応しようとするため、血流が活発になります。血行が良くなると、酸素や栄養素が体全体に運ばれやすくなり、老廃物の排出も促進されます。
サウナに入ることで血行がよくなり、新陳代謝が活発になります。
古い細胞が新しい細胞に生まれ変わろうとするため、体に溜めこんだ余分な老廃物や疲労物質が排出され、痩せやすい状態へと導きます。
サウナやお風呂は「直接痩せる」というよりも「痩せやすい体をつくる準備」をしてくれるイメージです。
温熱療法が体に与える意外な健康効果

体重減少以外にも、サウナと入浴には多くの健康効果が報告されています。
心血管系への好影響
定期的なサウナ浴は慢性的な高血圧による心臓突然死など、あらゆる心血管疾患のリスクを低下させるといわれています。
週4〜7回の頻度でサウナに入る男性は、週1回サウナに入る男性に比べて、心臓突然死のリスクが60%以上も低いという研究結果が出ています。
ストレス軽減と睡眠改善
サウナによって導かれる心地よい感覚は、脳が特別な快感やリラックスを感じる状態になりやすいサウナの優れた効果と言えます。
サウナ浴によってセロトニンが増加し、入浴後のノルアドレナリン(覚醒をつかさどるホルモン)が降下します。
これにより、サウナ浴後約2〜3時間後に最も入眠しやすくなり、眠りの深さも増加します。
むくみ改善とデトックス
血液循環も良くなるため内臓の働きが活発化し、むくみ解消にもつながりホルモン分泌も正常化すると言われています。
個人的には、デスクワークで足がむくみやすい状態が続いていましたが、定期的にサウナに通うようになってから、夕方の足の重さが軽減されたように感じています。
効果的な入り方と実践的でおすすめのコツ

サウナや入浴の効果を最大化するためには、正しい方法で利用することが重要です。
ここで紹介する効果的な入り方とおすすめのコツを実践して、効率のよいダイエットを実現しましょう!
サウナの効果的な入り方
基本的なサウナの入り方は、サウナ5〜12分、水風呂30秒〜1分、休憩5〜10分を1セットとして、これを2〜3セット繰り返します。
お風呂で体を温める→サウナ10分→水風呂→休憩5分を2〜3回繰り返すことで、1回のセッションで150〜250kcalの消費と長時間の代謝アップが期待できます。
経験上、無理に長時間入るよりも、適切な時間で複数セット繰り返す方が、体への負担も少なく効果的だと感じています。
サウナの正しい入り方については、公益財団法人日本サウナ・スパ協会が詳しい情報を提供しています。
ダイエット目的のおすすめ入浴法
ダイエット効果を高める入浴法には「温冷交代浴」「繰り返し浴」「落汗減量浴」の3種類があります。
その中で自宅でも気軽に実践できるのが、体を温めて大量の汗を流し、一時的な体重減少を促す「落汗減量浴」です。
落汗減量浴は、水風呂や冷水を浴びることは避けて、汗をしっかり出すことがポイントです。
そうすることで、代謝を効率よく上げることができ、痩せやすい体質づくりのサポートとなります。
関連記事:半身浴で痩せた?半身浴のダイエット効果について知っておくべき真実
入浴のポイント
湯の温度は40〜41℃ぐらいのぬるめの湯で入浴しましょう。
これくらいの温度であれば血圧はあまり上昇せず、血行促進効果が期待できます。
お湯に深くつかると水圧により心臓に負担がかかるため、湯船につかる時は胸の半分くらいまでにしましょう。
詳しくは厚生労働省の入浴事故に関する情報もご確認ください。
安全に利用するための医療ガイドライン

温熱療法には多くのメリットがある一方で、適切に使用しないとリスクも伴います。
実践する際は、安全を最優先に無理のない範囲で行うことを忘れないようにしましょう。
脱水リスクへの対策
サウナでは300〜400ml、多いときは1ℓの汗をかきます。
サウナに入る前にコップ1〜2杯の水かスポーツドリンクを飲んでおきましょう。
サウナに入ったら、一回ごとの水分補給が重要です。サウナ室内は乾燥しているので、汗がすぐ乾くため体内の水分が減少していることを感じにくく、脱水症状に陥る可能性があります。
利用を避けるべき人
心不全や心筋梗塞などの持病により、いちじるしく心臓機能が低下している方は、かえって心臓や血管に負担をかけてしまうといわれています。
高温のサウナから水風呂へ入るという入浴方法は、血管が急激に収縮し心臓や血管への負担が懸念されます。そのため、サウナ浴における温冷交代の入浴方法は、心臓病をお持ちの方にはおすすめできない入浴方法といえます。
飲酒したあとや利尿剤を内服している方は脱水を誘発するリスクが高くなるため、サウナ浴は控えた方が良いでしょう。
適切な頻度
週3回が理想的といわれています。
サウナを定期的に利用することで、ヒートショックプロテインが増加します。
サウナに毎日入ることは体に過度の負担をかける可能性があり、週に2〜3回程度の利用が推奨されます。
運動・食事管理との組み合わせ方

本格的なダイエットや減量は、適切な食事管理と運動を組み合わせることが重要です。
運動+食事管理+サウナor入浴で健康的に綺麗に痩せていきましょう。
運動との効果的な組み合わせ
内臓脂肪を落とすには、毎日20分以上の有酸素運動が大切です。
おすすめはヨガ、ウォーキング、ランニングなど。
筋力トレーニングをした後でサウナに入ると、代謝が活発な状態でサウナの刺激を受けられるので効率的にカロリーを消費できます。
ダイエットにプラスとなるサウナのタイミングとしては、運動前です。サウナは、体に負荷をかける行為だからです。ただし、運動後のサウナの場合、疲労回復効果が得られます。
関連記事:サウナスーツでウォーキングダイエット!効果と安全なやり方を徹底解説
食事管理のポイント
体にミネラルやビタミンが足りないと汗はかけません。
体が「これ以上、汗をかいてビタミンやミネラルが出てしまうと危険だ」と判断するためです。
また、白米や餅、菓子パンのような、血糖値を急激に上げる糖質食品は控えましょう。
血糖値が急激に上がると、インスリンというホルモンが大量に分泌されます。
サウナ後の食事にたんぱく質食品を取り入れることで、満足感を高めることができます。
個人的には、サウナ後のビールや高カロリーな食事の誘惑が最大の敵でした。
サウナの後に冷たいビールを飲んだり、お腹いっぱい高カロリーな食事を摂ったりしないように注意してください。
これが一番よくある失敗例です。
継続的な健康習慣としての実践を目指そう!

サウナと一般的な入浴では、体への熱刺激の質が異なるため、効果にも違いがあります。ダイエット効果だけを比較すると、サウナの方が短時間でより大きな代謝アップ効果が期待できます。
一方、入浴は日常的に継続しやすいのが利点。適切な温度(38〜40℃)で20〜30分浸かることで、サウナに近い効果を得ることも可能です。
理想的なのは、両方を組み合わせることです。
例えば、週に2〜3回のサウナと毎日の入浴を組み合わせることで、継続的な代謝アップ効果を得ることができます。
コストパフォーマンスを考慮すると?
サウナ施設の利用には、1回あたり数百円から千円程度の費用がかかります。
週2〜3回の利用を続けると、月に数千円から1万円程度の出費となります。
一方、自宅での入浴は光熱費のみで済みます。
長期的に続けることを考えると、経済的負担も考慮する必要があるでしょう。
ライフスタイルに合わせてペースを決めよう
経験上、どんなに効果的な方法でも、続けられなければ意味がありません。仕事の都合で夜遅くなる日が多い場合、サウナ施設の営業時間に間に合わないこともあります。
自宅での入浴習慣であれば、時間を気にせず自分のペースで続けられます。
自分のライフスタイルに合った方法を選ぶことが、継続の鍵となります。
まとめ:現実的な健康習慣としての温熱療法
サウナや入浴は、それだけで劇的に痩せる魔法のような方法ではありません。サウナに入るだけでは痩せませんが、私たちの体を「痩せやすい状態」に導く効果が期待できます。
重要なのは、サウナはこれらのアプローチの補助的手段として位置づけるのが現実的です。サウナによる代謝アップ効果や血行促進効果を活かしながら、食事管理と適切な運動を組み合わせることで、健康的に痩せることが可能になります。
個人的には、サウナや入浴を「ダイエットの手段」ではなく「健康的なライフスタイルの一部」として捉えるようになってから、無理なく続けられるようになりました。数字だけにとらわれず、体調の変化や気分の改善を感じながら、自分に合った方法で続けることが大切です。
週に2〜3回のサウナと毎日の入浴を組み合わせることで、継続的な代謝アップ効果を得ることができます。適切な水分補給と安全な利用方法を守りながら、長期的な健康習慣として取り入れていきましょう。
サウナとお風呂どっちが痩せる?に関するよくある質問
- Qサウナと入浴、どちらが痩せるのに効果的ですか?
- A
消費カロリーの面で見ると、サウナの方が短時間でより多くのカロリーを消費できる可能性があります。ただし、どちらも一時的な水分減少による体重減少であり、水分補給をすればすぐに戻ります。本格的な減量には、適切な食事管理と運動を組み合わせることが重要です。
- Q毎日サウナに入っても大丈夫ですか?
- A
サウナに毎日入ることは体に過度の負担をかける可能性があり、週に2〜3回程度の利用が推奨されます。過度な利用は脱水症状や体力の消耗を引き起こす可能性があるため、適度なペースを心がけましょう。
- Qサウナでどれくらいの時間入ればいいですか?
- A
室温にもよりますが、5〜12分、長くても15分くらいで出ましょう。体が温まって、気持ちよく汗をかいたらOKです。熱いのをがまんする必要はありません。交感神経が興奮して疲労が溜まり、逆効果になります。
- Qサウナ後の食事で気をつけることは?
- A
サウナの後に冷たいビールを飲んだり、お腹いっぱい高カロリーな食事を摂ったりしないように注意してください。これが一番よくある失敗例です。白米や餅、菓子パンのような、血糖値を急激に上げる糖質食品は控えましょう。
- Q心臓や血圧に不安がある場合、サウナは避けるべきですか?
- A
心不全や心筋梗塞などの持病により、いちじるしく心臓機能が低下している方は、かえって心臓や血管に負担をかけてしまうといわれています。心臓病をお持ちの方は、主治医へ相談のうえ利用することが大切です。
コメント