- 40代の更年期に痩せにくいのは、女性ホルモン(エストロゲン)の減少で体の仕組みが変わるためで、意志の弱さが原因ではありません
- 更年期ダイエットは「食べる量を減らす」より、筋肉と骨を守りながら体を整える発想が大切です
- 食事はたんぱく質・カルシウム・ビタミンDを意識し、大豆食品は公的な上限の目安を知ったうえで取り入れます
- 運動は筋トレ週2〜3日と、こまめに体を動かす習慣を組み合わせるのが基本です
- つらい症状があるときは婦人科でホルモン補充療法(HRT)や漢方などの治療を相談できます
「食べる量は変わらないのに、お腹まわりが気になってきた」「若いころと同じダイエットをしても、なかなか体重が落ちない」と感じていませんか。
40代は更年期に入り、女性ホルモンの減少によって体の仕組みが変わりやすい時期です。
この記事では、更年期に痩せにくくなる理由を公的機関の資料をもとに解説し、食事・運動・睡眠を無理なく整える方法と、婦人科で相談できる治療の選択肢まで紹介します。
この記事は、厚生労働省や学会が公表している資料をもとに、更年期の体の変化と、無理なく体重を整える方法を順番にまとめています。まずは「なぜ痩せにくいのか」を知ってから、食事・運動・睡眠へと読み進めてください。気になる症状がある方は、最後の婦人科の章もあわせて確認しておくと安心です。

40代の更年期に痩せにくくなるのは、エストロゲンが減るから

結論から言うと、40代の更年期に痩せにくくなる大きな理由は、女性ホルモンのエストロゲンが減って体の仕組みが変わることです。食べる量が以前と同じでも、体重やお腹まわりが変わりやすくなります。
日本産科婦人科学会は、閉経前の5年間と閉経後の5年間をあわせた10年間を「更年期」と説明しています。日本人の平均的な閉経年齢は50歳前後のため、40代半ばごろから更年期に入る人が多くなります。ただし個人差が大きく、40代前半から変化を感じる人もいます。
エストロゲンは月経だけでなく、脂質や骨など全身の働きに関わっています。厚生労働省の学習資材をもとに、更年期に起こりやすい体の変化を表にまとめました。
| エストロゲンの働き | 減ると起こりやすいこと | ダイエットで意識すること |
|---|---|---|
| コレステロールのバランスを整える | LDL(悪玉)コレステロールが増え、HDL(善玉)コレステロールが減りやすい | 脂の多い食事に偏らない、健診の数値も確認する |
| 骨からカルシウムが流れ出るのを防ぐ | 骨量が減りやすく、閉経後は骨粗しょう症が増える | 極端な食事制限を避け、カルシウムと運動で骨を守る |
| 体調や自律神経の安定を支える | ほてり・不眠・イライラなどで生活リズムが乱れやすい | 睡眠とストレス対策も体重管理の一部と考える |
出典:厚生労働省|更年期世代の女性の健康支援に関する学習資材をもとに筆者が加工・作成
同じ資料では、更年期は体重に変化が出やすい時期であり、適正体重を保つことが勧められています。つまり、痩せにくさは自己管理の失敗ではなく、体の変化として起こるものです。まずはこの前提を知るだけでも、自分を責める気持ちが少し軽くなるはずです。
加えて、40代は年齢とともに筋肉量が落ちやすい時期でもあります。筋肉が減ると消費するエネルギーも減るため、若いころと同じ方法では結果が出にくくなります。
更年期ダイエットは「減らす」より「整える」が正解

更年期のダイエットで大切なのは、食事を大きく減らすことではなく、筋肉と骨を守りながら生活全体を整えることです。急いで体重を落とそうとすると、かえって体調を崩しやすくなります。
前の章の学習資材では、やせすぎも骨量の低下につながると説明されています。エストロゲンが減って骨が弱くなりやすい時期に、食事を極端に減らすのは避けたいところです。目標は「何kg痩せるか」より「体調よく適正体重を保てるか」に置き換えてみてください。
1日1食だけにする、主食を完全に抜くといった極端な方法は、筋肉や骨を落としやすく、更年期の不調を強めるおそれがあります。持病がある方や治療中の方は、食事を大きく変える前にかかりつけ医に相談してください。
女性目線のポイント:体重計の数字だけで判断しない
40代はまだ月経がある人も多く、月経前は水分をため込みやすいため体重が一時的に増えることがあります。生理前に太る・むくむ原因と戻る時期を知っておくと、数字の上下に振り回されにくくなります。
- 週の平均で見る:毎日の数字ではなく、1週間の平均や前月同時期と比べます
- 腹囲も記録する:月に1〜2回、おへその高さで測ると変化に気づきやすくなります
- 体調メモをつける:ほてり・眠りの質・気分も一緒に書くと、受診時の説明にも役立ちます
更年期の食事はたんぱく質・カルシウム・大豆食品を意識する
更年期の食事では、筋肉の材料になるたんぱく質と、骨を守るカルシウム・ビタミンDを不足させないことが基本です。そのうえで主食・主菜・副菜をそろえ、量を少しずつ調整します。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の目安を、40〜50代女性向けに表へまとめました。
| 栄養素 | 30〜49歳女性 | 50〜64歳女性 | 多く含む食品の例 |
|---|---|---|---|
| たんぱく質(目標量) | 総エネルギーの13〜20% | 総エネルギーの14〜20% | 肉・魚・卵・大豆製品・乳製品 |
| カルシウム(推奨量) | 1日650mg | 1日650mg | 牛乳・ヨーグルト・小魚・小松菜・豆腐 |
| ビタミンD(目安量) | 1日9.0μg | 1日9.0μg | 鮭・さんま・いわしなどの魚、きのこ類 |
出典:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2025年版)報告書をもとに筆者作成
たんぱく質は、1食に手のひら1枚分の肉や魚、卵、豆腐などを1品入れると意識しやすくなります。食べる順番や組み合わせの工夫は体脂肪を落とす食事の基本でも詳しく紹介しています。
前の章で触れたように、更年期はコレステロールのバランスも崩れやすい時期です。主菜は肉に偏らず魚も取り入れ、揚げ物は回数を決めて楽しむなど、脂のとり方も見直してみましょう。主食を完全に抜くのではなく、ごはんの量を少し控えて野菜やきのこを増やすほうが、空腹を感じにくく続けやすくなります。
大豆イソフラボンは「食品から」が基本
大豆イソフラボンはエストロゲンに似た働きを持つ成分として注目されています。ただし、多くとるほど良いわけではありません。食品安全委員会は、日常の食生活での安全な摂取目安量の上限を1日70〜75mg(アグリコン換算)としています。
同じ資料では、特定保健用食品として日常の食事に上乗せする量の上限を1日30mgとしています。豆腐や納豆、豆乳などの食品を中心にし、サプリメントで大量にとらないことが大切です。大豆イソフラボンの代謝物である「エクオール」を含むサプリメントもありますが、含まれる量は製品ごとに異なります。利用する場合は表示を確認し、治療中の方は医師や薬剤師に相談してください。
家族と同じ食卓で「自分だけダイエットメニュー」を作り続けるのは負担になりがちです。家族の主菜に豆腐やきのこを足す、自分のごはんだけ少し小さい茶碗にするなど、作る手間を増やさない工夫から始めると続けやすくなります。
更年期の運動は筋トレ週2〜3日と「こまめに動く」の組み合わせ

更年期の運動は、筋肉と骨を守る筋力トレーニングと、日常でこまめに体を動かす習慣を組み合わせるのが基本です。激しい運動を短期間がんばるより、続けられる形を選びます。
厚生労働省の健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023では、成人の目安を次のように示しています。
- 歩行と同じかそれ以上の強さの身体活動を1日60分以上(歩数の目安は約8,000歩)
- 息が弾み汗をかく程度以上の運動を週60分以上
- 筋力トレーニングを週2〜3日取り入れる
- 座りっぱなしの時間を減らす
出典:厚生労働省|健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(概要)をもとに筆者作成
同じガイドでは、個人差を踏まえて強度や量を調整し、できることから取り組むことも示されています。いきなり全部を目指さず、今より10分多く動くことから始めれば十分です。
筋トレは、スクワットや壁を使った腕立て伏せなど自宅でできる種目から始めましょう。慣れてきたら軽いダンベルを使う方法もあり、女性の宅トレ向けダンベルの使い方も参考になります。
女性目線のポイント:ほてりや汗が気になる日の工夫
- 時間帯を選ぶ:ほてりが出やすい人は、朝や夕方の涼しい時間に動くと続けやすくなります
- 服装を工夫する:脱ぎ着しやすい重ね着や、汗を吸いやすい素材を選びます
- 食後すぐに座り込まない:食後は片付けや短い散歩など、軽く体を動かす時間を作ります
- 家事を運動にする:掃除や買い物で少し早歩きするだけでも、座りっぱなしを減らせます
- 体調が悪い日は休む:動悸やめまいがある日は無理をせず、ストレッチ程度にとどめます
睡眠とストレスを整えることも更年期ダイエットの一部

更年期のダイエットでは、睡眠とストレスの管理も食事や運動と同じくらい大切です。眠れない日が続くと疲れから活動量が減り、生活リズムも乱れやすくなります。
厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023は、成人は6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することを勧めています。同ガイドでは、睡眠時間が極端に短いと肥満などのリスクが高まることも示されています。睡眠を削って運動時間を作るより、まず眠る時間を確保するほうが、長い目で見て体重管理につながります。
- 寝る時刻と起きる時刻をできるだけ毎日そろえる
- 起きたらカーテンを開けて朝の光を浴びる
- 夕方以降の長い昼寝を避ける
- 寝る前のアルコール・カフェイン・喫煙を控える
- 寝室の温度や明るさを見直し、寝汗に備えて着替えを用意する
出典:厚生労働省|更年期世代の女性の健康支援に関する学習資材をもとに筆者が加工・作成
夜中のほてりや寝汗で目が覚める場合は、パジャマを汗を吸いやすい素材にする、寝具を薄めにするなどの工夫も役立ちます。それでも眠れない状態が続くときは、次の章で紹介する婦人科での相談も考えてみてください。
つらい症状があるなら婦人科へ|HRT・漢方と体重管理の関係

ほてりや不眠などの症状がつらいときは、婦人科で治療を相談するのも有効な選択肢です。症状が落ち着くと、睡眠や運動の習慣を整えやすくなります。
代表的な治療の選択肢を表にまとめました。どの治療が合うかは体質や持病によって変わるため、必ず医師と相談して決めてください。
| 治療法 | 主な内容 | 知っておきたいこと |
|---|---|---|
| 生活習慣の改善 | 食事・運動・睡眠の見直しや心理療法 | 治療の土台になり、体重管理とも重なる |
| ホルモン補充療法(HRT) | 減ったエストロゲンを少量補う | ほてり・発汗に特に有効とされ、骨折予防や脂質代謝の改善も期待される。乳がんなどのリスク確認が必要で、医師の管理のもとで行う |
| 漢方薬 | 当帰芍薬散・加味逍遥散・桂枝茯苓丸など | 体力や体質、症状に合わせて選ぶ。女性ホルモンを変動させない |
| 向精神薬 | 抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬など | 気分の落ち込みや不眠などの症状に用いられる |
出典:日本産科婦人科学会|更年期障害、厚生労働省|更年期世代の女性の健康支援に関する学習資材をもとに筆者作成
注意したいのは、HRTや漢方は「痩せるための治療」ではないという点です。症状をやわらげて生活を整えやすくする手段として考え、食事や運動の習慣とあわせて取り組みましょう。
女性目線のポイント:受診前に準備しておくと話しやすいこと
- 最後の月経の時期と、最近の月経周期の変化
- 気になる症状と、いつから・どのくらいの頻度で起こるか
- 体重や腹囲の変化、健診で指摘された数値
- 持病・服用中の薬・サプリメント
「この程度で受診していいのかな」と迷う人も多いですが、症状の確認だけでも相談できます。メモを1枚持っていくだけで、短い診察時間でも伝えたいことを話しやすくなります。
家族や職場ができる更年期ダイエットのサポート

更年期の体重管理は、本人の努力だけでなく、周りの理解があると格段に続けやすくなります。家族や職場の健康管理担当者ができることを整理しました。
- 家族ができること:体型の変化をからかわない、食事づくりや家事を分担して休む時間を作る、散歩に一緒に行く
- 職場ができること:体調不良時に休憩や休暇を取りやすくする、相談窓口を周知する、健診結果をもとに保健指導につなげる
- 本人ができること:つらさを一人で抱えず、家族や職場に「今こういう時期」と短く伝えておく
最近は、更年期の不調を職場の健康課題として捉え、健康経営の一環として支援に取り組む企業も増えています。更年期は誰にでも訪れる体の変化です。周りが正しく理解することで、本人が無理なく体を整えられる環境が生まれます。
まとめ
40代の更年期に痩せにくくなるのは、エストロゲンの減少による自然な体の変化です。食事・運動・睡眠を少しずつ整え、つらい症状は婦人科に相談しながら、自分の体と長く付き合える習慣をつくっていきましょう。
全部を一度に変えようとすると、忙しい40代はどうしても息切れしてしまいます。今日はまず、夕食に豆腐や魚を1品足すか、寝る時間を15分早めるか、どちらか一つだけ選んでみてください。小さな一歩を続けることが、体を整えるいちばんの近道です。
よくある質問(FAQ)
参考文献・出典一覧
この記事の数値や目安は、以下の公的機関などが公表している資料を確認したうえで作成しています。
